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コラム

男性更年期障害(LOH症候群)の症状と治療|40代から要注意のセルフチェック付き

「最近、疲れが抜けない」「朝起きるのがつらい」「やる気が出ない」——
その不調、男性更年期(LOH症候群)が関係しているかもしれません。

男性にも加齢に伴うホルモン変化があり、医学的にはLOHLate-Onset Hypogonadism:加齢男性性腺機能低下症)と呼びます。主因は男性ホルモンテストステロンの低下で、心身と性機能に幅広い影響が出ます。
「年のせい」と見過ごされやすい一方、適切に評価・治療すれば改善が期待できます。

【男性更年期(LOH)とは?】

テストステロンは主に精巣で作られ、筋肉・骨・代謝・性機能・意欲や集中力の維持に関わる重要なホルモンです。20代をピークに徐々に低下し、仕事や家庭のストレス、睡眠不足、肥満、過度の飲酒などでさらに下がりやすくなります。

代表的な症状(3領域)

身体面:疲れやすい、筋力低下、体脂肪(特に腹囲)増加、ほてり・発汗、関節痛、朝の勃起回数の減少
精神面:イライラ、不安感、気分の落ち込み、意欲・集中力の低下、睡眠の質低下
性機能:性欲低下、勃起不全(ED)、射精時の満足感低下

※症状はすべてが一度に出るわけではなく、ゆっくり進むため気づきにくいのが特徴です。うつ病や甲状腺疾患、糖尿病などでも似た症状が起こり得るため自己判断は禁物です。

【受診の目安】

  • 上記の症状が複数あてはまり、3か月以上続く
  • 朝の勃起回数が明らかに減った/性欲が低下した
  • 仕事のパフォーマンス低下や家族関係に支障が出てきた
  • 40~60代で生活習慣の乱れ・体重増加・睡眠不足が重なっている

まずは泌尿器科・男性更年期外来へご相談ください。

【診断のながれ】

  1. 問診・スクリーニング
    症状の出現時期や生活習慣、服薬歴を伺い、**AMS(加齢男性症状)**などの質問票で評価します。
  2. 血液検査
    テストステロン(総/遊離または計算遊離)、SHBG、代謝関連(脂質・血糖)、肝腎機能などを朝(810時頃)に測定します。必要に応じPSA(前立腺がんのマーカー)も確認します。
    ※日本では遊離テストステロンや計算値を参考に、症状とあわせて総合的に判定します。基準は年齢・採血条件で変動するため、単回採血のみで決めつけません。
  3. 鑑別
    うつ病、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺疾患、貧血、糖尿病、薬剤性(抗うつ薬・一部降圧薬など)を除外します。

【治療の基本方針】

1)生活習慣の改善(すべての方に推奨)

  • 運動:週2~3回、大筋群のレジスタンス運動(スクワット・腕立て・懸垂の代替など)+速歩20~30分
  • 体重管理:腹囲を減らすことでテストステロン低下の悪循環を断ち切ります。
  • 睡眠:7~8時間、就床前のスマホ/飲酒を控える。いびきや無呼吸があれば評価を。
  • 栄養:たんぱく質、亜鉛ビタミンDを意識(魚・卵・赤身肉・大豆・乳製品・牡蠣など)。
  • 嗜好:過度の飲酒・喫煙を控える。ストレス対処(趣味・マインドフルネス等)も有効。

2)医学的治療(検査で適応確認のうえ)

  • テストステロン補充療法(TRT
    注射薬または外用剤(ゲル/貼付)で不足を補います。212ほどで体力や気分、性機能の改善を実感する方が多い一方、全員に効くわけではありません
    禁忌・注意:前立腺がん/乳がん、重度の前立腺肥大症状、未治療の多血症、重度心不全、重度の睡眠時無呼吸、挙児希望(精子形成が抑制されます) など。
    モニタリング:開始後3か月、その後6~12か月ごとに血算(ヘマトクリット)・肝機能・脂質・PSA等を確認し、過量投与を避けます。
  • ED治療薬(シルデナフィル、タダラフィル等)
    勃起障害が主訴の場合に併用。心血管疾患や内服(硝酸薬併用不可)を確認します。
  • 漢方
    体質や症候に応じて補中益気湯、八味地黄丸、柴胡加竜骨牡蛎湯などを検討します(保険適用可否は病態によります)。

保険適用について
TRTや各種検査の保険適用は、検査結果や診断基準、併存症の有無で異なります。初診時に詳細をご案内します。

【かんたんセルフチェック(目安)】

次のうち3つ以上当てはまれば、受診をご検討ください。

  • 以前より疲れやすく、回復に時間がかかる
  • 体重・腹囲が増えた、筋力が落ちた
  • イライラ・不安・気分の落ち込みが増えた
  • 集中力・判断力・仕事への意欲が低下した
  • 朝の勃起が減った/性欲が落ちた
  • 寝つきが悪い、夜間に目が覚める
  • ほてりや発汗が気になる

※チェックは目安です。他の病気でも起こり得ます。

【よくある質問】

Q. 何歳から起こりますか?
A. 個人差はありますが、40代以降で目立ち始めます。ストレス・睡眠不足・肥満があると若年でも起こります。

Q. どれくらいで良くなりますか?
A. 生活改善は開始直後から、TRTは数週~数か月で実感が出ることが多いです。十分な効果には継続が重要です。

Q. 安全性は?
A. 適応を守り、過量投与を避け、定期検査を行えば安全性は担保できます。副作用として多血症、むくみ、ニキビ、睡眠時無呼吸の増悪などがあり、適切に調整します。

Q. 子どもを希望しています。治療できますか?
A. TRTは精子形成を抑制するため不向きです。挙児希望がある場合は別の選択肢(ライフスタイル介入、内分泌・不妊治療科と連携)を検討します。

【まずは専門医へご相談ください】

男性更年期は「恥ずかしい病気」ではありません。医学的に評価し、あなたに合った治療を選べば、仕事やプライベートの質は大きく改善します。
気になる症状が続く方は、お気軽に当院へご相談ください。初診時に質問票の記入→朝の採血→必要な検査までスムーズにご案内します。

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