【膀胱炎だけではありません|原因と泌尿器科を受診する目安】
「おしっこをすると痛い」
「トイレに行ったばかりなのに、まだ尿が残っている感じがする」
「急にトイレが近くなった」
このような症状があると、まず「膀胱炎かな?」と思う方が多いのではないでしょうか。
実際、排尿時の痛みや残尿感、頻尿は膀胱炎でよくみられる症状です。しかし、同じような症状でも、尿道炎、尿路結石、前立腺炎など、膀胱炎以外の病気が隠れていることがあります。
特に男性の排尿時痛や、発熱・腰痛を伴う場合には、単純な膀胱炎として考えないことが大切です。
さっぽろ泌尿器科クリニック 小児・女性泌尿器科では、症状だけで判断せず、尿検査などを行いながら原因を確認して治療します。
【こんな症状はありませんか?】
次のような症状は、膀胱や尿道など尿の通り道に炎症や異常があるときにみられます。
- おしっこをするときに痛い、しみる
- 排尿の終わりごろに痛みが強くなる
- トイレが急に近くなった
- 排尿後も尿が残っている感じがする
- 少ししか出ないのに何度もトイレに行きたくなる
- 急に強い尿意を感じる
- 尿が濁っている
- 尿に血が混じる
- 下腹部が重い、痛い
これらが突然始まった場合、女性では急性膀胱炎が代表的な原因の一つです。
【最も多い原因の一つが「急性膀胱炎」です】
急性膀胱炎は、主に細菌が尿道から膀胱へ入り、膀胱の粘膜に炎症を起こすことで発症します。
女性は男性に比べて尿道が短いため、膀胱炎を起こしやすいという特徴があります。
典型的には、
排尿時痛・頻尿・尿意切迫感・残尿感
などがみられます。
一方で、膀胱炎では通常、高熱や強い腰背部痛などの全身症状は目立ちません。
症状が典型的でも、自己判断だけで抗菌薬を使用するのではなく、尿検査を行って膀胱炎かどうかを確認することが大切です。
【「残尿感」があっても、本当に尿が残っているとは限りません】
「おしっこをしたのに、まだ残っている感じがする」という症状を残尿感といいます。
ここで重要なのは、
残尿感=膀胱の中に実際に尿が残っている
とは限らないことです。
膀胱炎で膀胱や尿道が刺激されているだけでも、排尿後に「まだ尿が残っているような感じ」がすることがあります。
一方、本当に排尿後の尿が多く残っている場合には、
- 前立腺肥大症
- 膀胱の収縮力の低下
- 神経因性膀胱
- 尿道の通過障害
- 一部の薬剤の影響
などを考える必要があります。
必要に応じて超音波検査で排尿後の膀胱を確認し、「感覚としての残尿感」なのか「実際に残尿がある」のかを区別します。
【発熱や腰の痛みがあれば「腎盂腎炎」の可能性があります】
排尿時痛や頻尿に加えて、
- 発熱
- 悪寒、震え
- 背中や腰の痛み
- 吐き気、嘔吐
- 強いだるさ
などがある場合には、感染が膀胱だけではなく腎臓まで及んだ急性腎盂腎炎などの全身性尿路感染症を考えます。
腎盂腎炎は膀胱炎とは治療方針が異なり、状態によっては点滴治療や入院治療が必要になることもあります。
発熱を伴う排尿症状を「いつもの膀胱炎」と自己判断しないことが重要です。
【男性の排尿時痛は、膀胱炎以外も考えます】
男性でも膀胱炎を起こすことはありますが、女性と比べると頻度は高くありません。
男性に排尿時痛や頻尿がある場合には、
- 尿路感染症
- 急性前立腺炎
- 尿道炎
- 尿路結石
- 前立腺肥大症などによる排尿障害
なども考える必要があります。
特に、
発熱+排尿時痛+会陰部や下腹部の痛み
がある場合には、急性前立腺炎の可能性も考えます。
また、排尿時痛に加えて尿道から分泌物が出る場合や、性交渉後に症状が出現した場合には、クラミジアや淋菌などによる尿道炎の検査が必要になることがあります。尿道炎では排尿時痛や尿道分泌物などが代表的な症状です。
【「膀胱炎だと思っていたけれど菌がいない」こともあります】
排尿時痛や残尿感があるからといって、必ず細菌性膀胱炎とは限りません。
例えば、
- 尿路結石
- 尿道炎
- 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群
- 過活動膀胱
- 骨盤底筋の過緊張
- 閉経関連尿路性器症候群(GSM)
- 外陰部・膣の炎症
などでも、膀胱炎に似た症状が生じることがあります。
とくに、尿検査では感染がはっきりしないのに、膀胱や下腹部の痛み、頻尿、残尿感などが長く続いている場合には、単純な膀胱炎とは別の原因を考えることが重要です。
【泌尿器科ではどのような検査をするのでしょうか?】
まず症状の経過を確認し、基本となるのが尿検査です。
尿中の白血球、赤血球、細菌などを確認することで、尿路感染症や血尿の有無を調べます。
必要に応じて、
- 尿培養検査
- 超音波検査
- 排尿後残尿測定
- 性感染症の検査
- 血液検査
などを追加します。
尿培養は特に、発熱などを伴う尿路感染症、症状が典型的でない場合、治療後も改善しない・再発する場合、妊娠中、耐性菌のリスクがある場合などで重要になります。
抗菌薬が必要な場合も、患者さんの年齢、性別、妊娠の有無、薬剤アレルギー、これまで使用した抗菌薬、尿培養の結果などを考慮して治療薬を選びます。
【何度も膀胱炎を繰り返す方は、別の視点が必要です】
「治療するとよくなるけれど、しばらくするとまた膀胱炎になる」
このような場合には、その都度抗菌薬を飲むだけではなく、なぜ繰り返しているのかを考えることが重要です。
閉経後の女性では女性ホルモンの低下による尿路・外陰部の変化が関係していることもあります。
反復する場合には尿培養による確認も重要です。2026年EAUガイドラインでも、反復性膀胱炎について尿培養による診断が推奨されています。
【このような場合は早めに受診してください】
排尿時痛や残尿感だけで、必ずしも緊急性が高いわけではありません。
ただし、次のような症状がある場合には早めの診察が必要です。
- 38℃前後以上の発熱や悪寒がある
- 腰・背中が強く痛む
- 吐き気や嘔吐がある
- 尿がほとんど出ない
- 強い血尿がある
- 強い下腹部痛・側腹部痛がある
- 妊娠中に排尿症状がある
- 男性で発熱を伴う排尿時痛がある
- 抗菌薬を飲んでも改善しない
- 短期間に何度も繰り返している
特に発熱や全身状態の悪化を伴う場合には、膀胱だけの感染ではない可能性があります。
【「膀胱炎だろう」と決めつけず、原因を確認しましょう】
排尿時痛や残尿感はよくみられる症状ですが、原因は一つではありません。
女性の急性膀胱炎であることもあれば、男性では前立腺炎や尿道炎、長く続く場合には膀胱痛症候群や骨盤底筋の問題などが隠れていることもあります。
「おしっこをすると痛い」「出したのにすっきりしない」「急にトイレが近くなった」
という段階で、泌尿器科へご相談いただいて構いません。
さっぽろ泌尿器科クリニック 小児・女性泌尿器科では、尿検査を基本として、必要に応じて尿培養、超音波検査、残尿測定などを行い、症状の原因に応じた治療をご提案します。
「膀胱炎だと思っているけれど、何度も繰り返す」
「検査では菌がいないと言われたのに症状が続く」
といった場合もご相談ください。